意外と知られていない、バッティング時の正しい腕の使い方って?

昔から言われていることで、『構える時に両脇はしめろ』という教えがあります。しかし実際に両脇を締めてスイングしたことがある人はわかると思いますが、非常に打ちにくいです自然にしていても脇は閉まりませんので、わざと締めると、腕は縮こまり、背中は丸まり、全然力が入りません。実はこの教えは、古い迷信みたいなもので、大きな間違いなのです。ではどういった腕の使い方が正しいのでしょうか?解説していきましょう。※説明しやすさの都合上、右打者の前提で解説します。

まーく

ちなみに、この記事は、野球歴25年以上の野球マニアである、私まーくが書きました。みなさまのお役に立てれば嬉しいです。

構える時、右脇は開けよう

スイングの動作においては、右腕が畳まれた状態から伸びる動きが必要になります。しかし、構えのタイミングから右腕を畳んでしまうと非常に窮屈で、スムーズな動作に移れません。
実は、構える際は『右脇を開けた方がスイングスピードが早くなる』のです。
それはなぜかというと、右脇が開いた状態から、スイング動作で体を回転させるとともに右脇を畳んでく動作を並行して行うことで、右腕が加速し、スイングスピードが早くなるのです。だから、右脇は極力開けておき、打つ動作の時に畳んでいくという形が正解なのです。

左脇にも余裕を作り、バットを抜きやすくする

では、左腕の使い方はどうすればいいでしょうか?左腕も、インパクトの瞬間は畳まれた状態から伸びていくことで力が生まれます。しかし、最初から畳んでおくのではなく、ある程度脇に余裕を作っておいた方がいいです。なぜなら、左脇に余裕があれば、インコースのボールが来た時に、『バットを抜く』ことでバットの芯にボールを当てやすくすることができるのです。
バッティングの基本はアウトコースをいかに打ち返すかです。なぜならピッチャーはアウトコースを中心に攻めることが非常に多いからです。しかし、アウトコースを待っていてインコースにボールが来ると、多くの場合、差し込まれて窮屈なバッティングになってしまうのです。しかし左脇に余裕があると、『バットを抜く』ことができるので、そのままバットの芯にボールを当てられる確率が高くなるのです。

腕はリラックスさせて、胸の前で三角形を作るイメージ

右脇・左脇、ともに開けておいた方がいいことはわかりました。しかし、あまり意識しすぎると、不自然な形になったり、力んで逆にスイングがスムーズにできなかったりします。そこで意識しておいた方がいいのは、『腕をリラックスさせて、胸の前で三角形を作る』イメージで構えを取ることです。このイメージを持って構えると、力みもなく、脇も適度に開いた構えを取ることができます。

投手側の腕は伸ばしきらない

ボールの飛距離を決める大きな要素として、『トップの位置と、インパクトの瞬間のボールの距離の長さ』があげられます。どういうことかというと、より遠い距離からボールのインパクトポイントにバットをぶつけた方がスイングが加速し、飛距離が伸びるという考え方です。
これだけを考えると、投手側の腕(前腕)を思い切り後ろに引っ張ってトップを作り、スイングした方が良いと考えることができます。しかし実際に前腕を伸ばしきってしまうと、腕がスイングの始動に合わせて動きにくくなり、多くの場合、振り遅れてしまいます。(バットがスムーズに出てきません)
大事なのは、先ほど述べた、『胸の前で作った三角形(バットのグリップ、両腕を結ぶと三角形になる)をイメージしながらスイングし、インパクトの瞬間以外は腕は伸びきらない』という点です。テイクバックでトップを作る際でも、腕は90%くらいしか伸ばさないので、三角形の形は変わるが、常に胸の前を移動しながら三角形が保たれている、というイメージです。このイメージを持って腕が適度に曲がり、リラックスした状態でスイングできると、バットはスムーズに出てきますし、加速したスイングが実現できます。
言葉の説明だけだとわかりにくいかもしれませんが、参考になる動画がありましたので紹介させていただきます。
西武ライオンズの森友哉選手の上半身の使い方です。


見ていただくとわかりますが、胸の前で作られた三角形が保たれながらテイクバックし、トップが作られ、スイングのインパクトの瞬間に腕が伸びきっています。
この腕の使い方が理想です。ぜひ参考にしてみてくださいね。

腕が上手く使えていないとどうなる?

腕が上手く使えていないと、俗に言う手打ち・ドアスイングになります。これは主に、『後ろの手と前の手の使い方のバランスが崩れている』ことが原因だと考えられます。
どういうことかというと、後ろの手を強く使いすぎていて、後ろの手1本で打つような使い方だと、手打ち(ドアスイング)になりやすいのです。
例えば、振り出しのタイミングから、後ろの腕が伸びていたり、手首が返るのが早いとそうなります。振り出しのタイミングでは、後ろの手で押し込むのではなく、前の手で引っ張るイメージが良いです。
もしこのような問題があるときは、もう一度”下半身主導でバッティングできているか”を見直してみましょう。
後ろの腕が先に出てしまうということは、下半身主導で体が使えていない可能性が高いです。
下半身主導バッティングが上手くなりたいなら、下半身主導で体の回転で打とう!

以上が、バッティング時の正しい腕の使い方でした。ぜひ参考にしてみてくださいね。みなさまの野球人生がより良いものになりますように。