イップスの原因と克服するための方法は?選手、指導者が気をつけることとは?

野球をやっていると、『イップス』という言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。

あのプロ野球選手はじつはイップスだった…
チームメイトが…自分が…イップスになってしまった

『イップス』になってしまうと、克服するのが非常に大変ですよね。
この記事では、全ての野球プレーヤーと指導者の方のために、イップスとは何かと、起こる原因と克服方法について解説します。

まーく

ちなみに、この記事は、野球歴25年以上の野球マニアである、私まーくが書きました。みなさまのお役に立てれば嬉しいです。

イップスとは?

イップスとは一言で説明すると、
『特定の状況下で特定の動作ができなくなってしまうこと』
です。
例えば…

  • ピッチャーをやっていて、自分の投げ方がわからなくなって上手く投げれない…
  • 内野手をやっていて、ファーストまで送球ができない…
  • 外野手をやっていて、バックホームの送球が普段通り投げれない…
  • イージーフライがどうしても捕れない…
  • バットの振り方がわからなくなってしまった…
というような症状です。特に送球や投球に関する症状が比較的多いです。
個人によって症状は違いますが、今まで当たり前のように出来ていたことが、突然できなくなってしまう、やろうとするとおかしな動き方になってしまうのです。
実際になってしまうと、非常に辛いですよね。
例えばメジャーリーガーでもこんなふうにイップスで上手く投げられない人がいます。

なぜイップスは起こるの?

イップスが起こる原因は諸説ありますが、ほとんどが精神的な要因です。
例えば

  • 大事ば場面でミスをしてしまった
  • 指導者から心理的なプレッシャーを受けた
など、過度なストレスを精神に受けると、人の脳はそれを危機的な状況と判断し、体を硬直させてしまうことがあるのです。これにより体が上手く動かなくなります。
これは人間の本能的な反応で、自分ではコントロールできません。
また、ミスをした光景がフラッシュバックし、体が固まって上手く動かせなくなってしまうこともあります。このフラッシュバックは無意識の中で起こっています。
これにより、同じような状況下でイップスが起こりやすくなるようになると言われています。
なぜこのようになってしまうかというと、人間の体は、イメージに基づいて動いています。
例えば、ボールを投げようとするとき、意識していようがいまいが、必ず投球前に、投球動作のイメージが頭の中で映し出されています。
しかし、『イップス』の場合、フラッシュバックによって上手くいかなかった時のイメージが毎回映し出されてしまうので、思うように体が動かせなくなってしまうのです。

どうすればイップスは克服できる?

ではどうすればイップスは克服できるのでしょうか?
じつは『○○をすればイップスは確実に治る』
というような明確な方法は存在しません。なぜなら、イップスは精神的な問題が引き起こしているもので、精神をコントロールできるのは選手自身しかいないからです。
しかし、押さえておくべきポイントや、効きやすいと言われている方法があるので紹介します。

自分がイップスであることを本人も周りも受け入れる

まずは、自分自身や周りのサポートするチームメイト、指導者の方が、イップスであることを受け入れることが重要です。
本人がわざと間違った動作をしているのではなく、本人の意思とは関係なく引き起こされてしまった問題なので、本人を含めた周りのサポートが克服のために必要です。

失敗することを良しとする

イップスは、過度なストレスから引き起こされやすいと説明しました、
この過度なストレスは、多くの場合、指導者の方の減点方式による指導が原因になっていることが多いです、
例えば、

  • 試合でミスをすると怒鳴るなど、徹底的に怒る…
  • 投球練習で、狙ったところにいかないと罰がある…
  • 守備のノックで、ミスをすると連帯責任だったり、皆の前で叱責されたりする…
というような、選手を精神的に追い込む指導が多いです。
これは、野球はミスが起こるスポーツであり、日頃から緊張感を持ってミスを少なくするためにやっているのかもしれませんが、
このような、減点方式の指導法が、選手に精神的に大きな負担をかけ、イップスを生んでます。
減点方式ではなく、失敗の許容ラインを設け、加点方式で考えましょう。
選手のできないところではなく、できたところに目を向け、できないことがあれば、原因と解決策を一緒に考えてあげられる指導が必要です。
緊張感を作り出したいのであれば、心拍数を高めた状態で練習すれば、試合の緊張感と同じ状態で練習ができます。
詳しくはこちらを参考にしてみてください。
試合で結果を出すメンタルトレーニング試合で結果を出すために必要なメンタルの考え方とは?

結果だけではなく、過程にも意識を向ける

結果ばかりに気を取られていると、精神的に追い込まれやすいです。
なぜなら、上手くいった結果も、上手くいかなかった(ミスをした)結果も、自分だけではコントロールできないからです。結果には様々な要因が絡みます。
そして指導者もそこばかりに目を向け指導していると、選手は苦しくなります。

結果的にフォアボールになったけど、アウトローのギリギリに投げ込めた

結果的にエラーになったけど、ゴロに対して怖がらずに向かっていけた

など、結果だけではなく、過程にも目を向けることで、今まで気づけなかった良い面に気づけるようになるでしょう。
それが積み重なってポジティブな選手の考え方を作るので、イップスになりにくくなったり、イップスになったとしても、克服しやすい環境になるのです。

ポジションや打順など、環境を変える

どうしても特定の状況下でイップスが起きてしまうようであれば、思い切って環境を変えてみましょう。
例えばポジションを変えてみたり、打順を変えてみたり。
違うポジションや打順でプレーすることで、元の通りのプレーができるようになることがありますよ。

正しい動作を取り戻すための練習をする

基本に立ち返って、基本的な動作の練習を反復練習するのも効果的です。
手首の使い方がおかしくなってしまったのであれば、スナップする感覚を取り戻すために、寝転がって天井に向かってボールを投げる練習をするとか、
思い切り地面に叩きつけるように投げて、体を使って自然に投げる動作を思い出す、などです。

例えばこの方は、動画のような練習をして克服していったそうです。


なるべく思考する暇をなくし、基本的な動作を反復的に行ったり、普段とは違う使い方をすることで、体が本来の動かし方を思い出してくれることがありますよ。

選手をイップスにしないために指導者が気をつけるべきこと

先に述べた通り、指導者の心理的プレッシャーにより、選手がイップスになってしまうことが多いです、
指導者は、自分の言動が想像以上に選手に影響を与えていることを自覚すべきです。
その上で、減点方式だけではなく、加点方式による指導を取り入れましょう。
怒鳴っても殴っても野球の技術が身につくわけではありません。
一度イップスになってしまった選手がそれを克服するのは非常に大変です。
それよりも、選手をイップスにさせない指導をお願いいたします。

また、イップスは、真面目であったり目標が高い選手がなりやすいとも言われております。
そういった特徴の選手に対して過度にプレッシャーをかけ過ぎないと同時に、信頼関係を結び、適切な目標設定、練習に臨む姿勢を教えてあげてください。
野球の目標設定すぐに実践しよう!野球がみるみる上達する目標設定とは?

以上が、イップスの原因と克服するための方法でした。
ぜひ参考にしてみてくださいね。みなさまの野球人生がより良いものになりますように。