試合でもっと活躍できる選手になりたい…
もっと勝てるチームになりたい…
野球をやっていれば皆、当たり前に思うことですよね。
もちろん、ただ楽しく野球をやる、という楽しみ方も当然あります。
一方で、今より上手くなって、選手として試合で活躍したり、チームがよりレベルの高い舞台で躍動する姿を思い浮かべながら、日々の練習に取り組んでいる方も多いかと思います。
しかし、その状態には、
ただがむしゃらに練習していればたどり着けるのでしょうか?
とにかく頑張っていればいつか報われるのでしょうか?
答えはNOです。
ただ頑張っていても、
もしその努力の方向が間違っていたら、
本当はもっとやらないといけない練習があったら、
自分自身やチームは強くなるチャンスを失うことになります。
大切なのは、適切に今の自分自身やチームを分析し、課題を見つけ、課題解決方法として練習を積み重ねていくことです。
そうして初めて、大きな飛躍が起こりうる可能性が出てきます。
選手やチームが着実に上達していくのは、そういった『適切な自己(チーム)分析と目標設定』が必須です。
そこでこの記事では、全ての野球プレーヤーと指導者の方のために、『野球がみるみる上達する目標設定』について解説します。
この記事を読んで、少しでも目標を達成できる選手やチームが増えれば幸いです。
まーく
目次
目標設定とは?
そもそも目標設定とは何なのでしょうか。
目標設定はなぜ必要なのか?
目標設定が必要な理由、それは『自分自身の進みたい方向と行動を明確にするため』です。
目標があるからこそ、
それを実現するためには何が必要か?
なぜ今実現できていないのか?
何をすればそれが実現できるのか?
考え、行動することができるのです。
逆に目標設定がなければ、自分自身やチームが進みたい方向(進むべき方向)やそのために必要な行動やスキルが見えづらくなるので、効率的に達成したいことに対して進んでいくことが難しくなってしまうのです。
目標設定の種類
目標設定には、時間軸とその内容の特徴から、主に4種類あります。
- 『○年後こうなりたい』『将来こうなりたい』というような最終的な目標
- 自分自身(チーム)が進みたい方向を明らかにしてくれるもの
- 短期的な目標と行動に落とし込むには、より具体的に描く必要がある
- 長期的な目標を達成するためのプロセスとなるもの(逆算したもの)
- 長期的な目標は年単位や数ヶ月単位のものだが、短期的な目標は1ヶ月〜週・日単位で落としこまれる
- 日々の競技や練習に対するモチベーションとなる。一つ一つ短期目標をクリアしていくことが、長期的な目標の達成につながる
- あくまでも競技での結果に対する目標。例えば、『県大会でベスト4に入る』『次の試合は3失点以内に抑えるピッチングをする』などの結果
- 結果には、競技相手・チームメイトなど、複数の要因が絡むため、結果に対する目標が達成されたかどうかだけで、自分自身の評価をすることはできない
- 結果に対する目標は、わかりやすいので短期的なモチベーションコントロールに役立つ
- 競技相手やチームメイトなどに左右されない、プレー(パフォーマンス)の内容を目標とする。例えば、練習と同じフォームで投球する、アウトコースの変化球を引きつけてライト方向に打ち返す、など
- 結果は自分だけでコントロールできないが、パフォーマンスは目標通りできたかどうか、評価することができる
- 結果に対する目標と必ずセットで考える。試合に勝つという結果を出すには、必ず優れたパフォーマンスが必要なため
目標設定をする時に気をつけるポイントとは?
目標を設定するときは、目標を目指しやすくするため・振り返りやすくするためにいくつかの気をつけるべきポイントがあります。
具体的であるかどうか
目標は具体性が大事です。
ピッチャーとして活躍する:×
ピッチャーとして、年間で10勝する:○
このように、例えば『活躍する』では具体的に何をするのか、わかりません。
しかし『年間で10勝』という目標であれば、そのために必要なパフォーマンスをイメージすることができます。
そうすれば、パフォーマンスの目標もできますし、そのために必要な短期的な目標も作りやすくなります。
定量的であるかどうか
目標を具体化するのと合わせて、数値化した方が振り返りがしやすくなります。
先ほどの例だと、『年間10勝』が目標になるので、もし仮に9勝以下であれば、評価は×とすることができますね。
また、パフォーマンスの目標も、例えば『10勝するためには、防御率が2点台である必要がある』、ということがわかってきますので、
そうすると、『防御率の2点台を達成するには今のままの球速じゃダメだ』とか『防御率の2点台を達成するには、コントロールの精度をあげないといけない』
というようなことがわかってきます。そうすると具体的に取り組んでいくことがわかりますね。(これは個々人の課題が何かによって変わってきます)
今のは一例ですが、このような『具体化』と『振り返り』の観点で定量的な目標設定が重要になるのです。
チャレンジングではあるが、達成不可能ではない
頑張ってやっと届くかどうか、の目標がモチベーションをコントロールする上で重要です。
もちろん、大きな目標を立てることは悪いことではありませんが、今の自分とかけ離れすぎている目標や、非現実的な目標は、目標として意味をなさず、目指す過程で心が折れてしまうことが多いです。それよりも、頑張れば達成できるかどうか微妙なラインくらいの目標にすれば、自分自身の頑張りをうまく引き出すことができます。
関連性があるかどうか
目標は関連性のあるものでないと意味がありません。例えば、『1年後に球速を15キロ上げる』が目標だったとして、そのための短期目標を考える際、自分自身の課題と関係ない目標を設定しても意味がありません。
期限を設定しているかどうか
目標には期限が必要です。期限がないと、どこかで『明日でもいいや』というような意識が生まれ、上達速度が遅くなってしまいます。必ず全ての目標に期限を決めましょう。
今の自分自身を正しく評価できているか?
具体的に目標設定をする際に重要なのが、自分自身を正しく評価することです。
長期的な目標は自分自身の心の声を反映させるべきです。何がやりたくて何がやりたくないのか。
ではそれを達成するために必要なものを考える際、今の自分に何ができていて何が足りないのか、目標を達成するためには何が必要なのか?正しく認識できていますでしょうか。
下記の4つの項目に分けて、自分のポジションで理想としている
『理想的なプレーのために必要なもの』
『自分自身が必要なものを満たせているかどうか』
を考えるのが良いでしょう。
- 技術面
- 戦術面
- フィジカル面
- メンタル面
理想:
- 球速130キロ以上
- 変化球を3種類以上使える
- 高低・左右に投げ分けることができる
- ランナーの有無でコントロールと球質が変わらない
自分自身の評価:
- 球速120キロ→△
- 変化球は2種類→△
- 高低・左右への投げ分け→×(逆球が多い)
- ランナー有無でのピッチング→×(クイックになると球速が落ちる)
例えばこれがフィジカル面だと、スクワットの持ち上げられる重量であったり、筋肉量で評価したりします。
一度、これらの自己分析が終わったら、周りの人に見てもらって、周りの評価と合っているか、課題は他にもないのか、確認してもらうのが良いでしょう。
具体的な目標設定のやり方
自分自身の理想と現時点での評価がわかれば、技術面・戦術面・フィジカル面・メンタル面における目標設定をしていきましょう。
長期目標を決める
まずは長期目標を決めましょう。いつまでにどんな目標を達成したいのか、具体的な20○年○月まで期限を決めて、目標を決めておきましょう。
例えば、2年半後に甲子園に出場することが目標であれば、半年ごとにどういう状態になればいいのかも考えましょう。
最終的な目標→ステップ目標
という決め方です。
またこのとき、結果の目標だけではなく、パフォーマンスの目標も忘れずに決めましょう。
月間目標に落とし込む
長期的な目標が決まれば、それを毎月の目標に落とし込みましょう。これも、結果の目標とパフォーマンスの目標、両方必要です。
週間目標に落とし込むことで日々の行動が決まる
月間で決めた目標を達成するために、さらに1週間ごとの目標を決めます。この時も結果とパフォーマンスの目標、両方が必要です。
ここまで行って初めて、日々何をしていけば目標にたどり着けるのか、明確になりますし、毎日行うことが最終的なゴールにつながっていきます。
定期的に振り返りをしよう
目標は決めただけでは意味がありません。日々行動しながら、振り返りを行っていきましょう。
評価をする際、気をつけるポイントは2つです。
要因を把握する
『なぜできたのか?』『なぜできなかったのか?』を大切にすることが重要です。
なぜなら、要因がわかることで、次何をすべきか、がより明確になるからです。もちろん、やるべきことや目標の修正はOKなので、実際にやっていきながら、振り返りの内容をもとにやるべきことを修正していきましょう。
原因と結果を間違えない
よくあるのが、何かできなかった時に『自分の能力が足りないのが原因』とか『自分の力が足りない』と考えてしまうパターンです。
しかしこれは本当の原因ではありません。どちらかというと結果です。
何か原因があるから、『自分の能力が足りない』のです。
『自分の能力が足りない』で終わらせてしまったら、次何をすればいいのかわかりません。
なぜフォアボールを出してしまったのか?
それは試合終盤にかけて下半身の力がなくなり、投球動作の時に、前足が割れて左肩が開くことでコントロールミスが多くなるから
など、具体的な要因まで掘り下げることで、解決策が見えてくるのです。
この場合は、下半身の筋力強化と持久力強化、フォームの修正がやるべきこととして見えてきますね。
もしこれを『能力が足りない』で終わらせていたら、何をすればいいかわかりませんでした。
目標は変更してもいいの?
よくあるイメージとして、
『目標は何が何でも達成するもの』
というようなものがあると思います。
しかし、目標は変更してもいいのです。
目標はあくまでも手段でありツールです。目的ではありません。その時の自分自身に合ったものに、変えていきましょう。日々、小さな目標をクリアし、達成感を得ることで自信を持てるという側面もあります。
しかし、単なる妥協は良くありません。
例えば大きな怪我をして元々決めていた目標達成が非現実的になった場合などは変えてしまいましょう。
もし単純にやる気が出ないとか、上手くいかない、という場合はまずその原因を考え、そのあとに本当に目標を修正すべきかどうか考えましょう。
『もしも失敗するとしたらなぜ失敗する?』と常に問いかけ、打ち手を考えておく
目標は達成できる時、達成できない時、両方あります。
達成できるかどうかわからないものに挑むからこそ、今より良い自分になれます。
そしてその達成確率を上げるための一つの方法として、
『もしも失敗するとしたらなぜ失敗する?』
と常に問いかけることです。
目標達成までのプランニングは常に完璧ではありませんし、予想外のことも起きます。
しかし、『もしも失敗するとしたらなぜ失敗する?』をあらかじめ考えて対策しておければ、失敗する理由を事前に潰しておけるのです。
例えばスポーツに怪我はつきものですが、この考えがあれば、事前に怪我の予防をすることも可能です。
目標達成を阻むものとの向き合い方
目標を達成しようと思うと、様々な目標達成を阻むものが出てきます。
例えば、部員の数が多くて1人あたりの練習量が少ない、とか、グラウンドが他の運動部との兼ね合いで週に1回しか使えない、などです。
そういった障害が発生した時に、あきらめるのではなく、限られた制約の中で、どうすれば目標が達成できるのか、と考えることが重要です。
例えばグラウンドが使える日が限られているのであれば、その日はチーム全体の連携練習にあて、他のトレーニング(基礎的なものや単純なもの)は校舎の裏庭を使わせてもらってやる、などです。
当初のプランと現実はいつも異なるものです。思い通りいくことより、いかないことの方が多いです。
そんな時こそ前向きに、柔軟に対応していきましょう。
チームとしての目標設定
チームは個人の集まりですが、個人がただ集まっただけではなく、チームとして目標も機能させることが必要です。
チームにはそれぞれ個人に役割があります。
チームの大きな目標を達成するために、個人は何をしなければいけないのか、指導者は各メンバーにしっかりと伝えることが重要です。
各々の役割やチャンスが明確になれば、それぞれの選手がそれに向かって全力を尽くそうとします。
たとえレギュラー以外の選手であっても、チームとしてA君には何を期待しているのか、何ができるようになればレギュラーのチャンスが増すのか、しっかりと伝えてあげることで、A君にもやる気が出てきますし、それがチーム全体の底上げにつながるのです。
以上が、『野球がみるみる上達する目標設定』でした。ぜひ参考にしてみてくださいね。みなさまの野球人生がより良いものになりますように。