もう緊張しない!自分に合ったルーティンを見つけよう!

スポーツをやっていれば、一度は『ルーティン』という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
でも、

ルーティンって聞いたことはあるけど、じつはよくわかってない…
ルーティンって具体的にどうすればいいんだろう…

そんな方も多いかと思います。
日本では、イチロー選手が『ルーティン』を取り入れていることで有名になりましたね。
この記事では、全ての野球プレーヤーと指導者の方のために、『自分に合ったルーティンの見つけ方』について解説します。

まーく

ちなみに、この記事は、野球歴25年以上の野球マニアである、私まーくが書きました。みなさまのお役に立てれば嬉しいです。

ルーティンとは?何のためにやるの?

まずは、

ルーティンってなに?

という方のために、ルーティンの目的や効果について説明します。

ルーティンの目的とは?

ルーティンとは、
プレーに入る前に決められた動作を行うこと
です。
この目的は、どんな状況下でも最高のパフォーマンスを行うことです。
例えばイチロー選手はこのようにバッターボックスに入る前、決められた動作を行なっています。


この『ルーティン』にはどのような効果があるのでしょうか?

ルーティンの効果

ルーティンの効果は主に下記です。

  • プレーに入るまでの動作を同じものにしておくことで、その動作をすることが、プレーに入るという「スイッチ」になる。
  • やるべきことを毎回同じにすることで、集中力を妨げる多くのことから気をそらし、目の前にプレーに集中できるようになる。
  • 外部環境に左右されず、どんな状況でも安定したパフォーマンスを行うことができる。
  • ネガティブなプレーの後も、ルーティン動作を行うことで気持ちを切り替えることができる。
  • 練習の時からルーティンを取り入れることで、試合本番でも練習と同じようにプレーできる。
ルーティンにはこのような効果があり、習得すれば試合での高パフォーマンスにつながります。

ルーティンは2種類必要

じつは必要なルーティンには2種類あります。
それは

  1. 毎回プレーの前に行う『普段のルーティン』
  2. 自分のリズムを取り戻すための『切り替えのルーティン』
です。
『普段のルーティン』は、例えばバッターボックスへ入る前に決まって行う動作とか、ピッチングの前に決まって行う動作のような、『普段通りの自分の実力を出すための準備』です。
しかし、『切り替えのルーティン』は、大きなミスをしてしまったときなどの、自分の思い通りに結果が出ず、心が乱れかかっている時に、『元の自分に戻るための準備』です。
どんなに冷静を保てる人でも、大きなネガティブな出来事が起きれば、どこかしらに普段と違う力みや不調が生じます。それは、人間が完璧でないからです。
そんな時に『切り替えのルーティン』があれば、元の自分のペースに戻ることができるのです。
『普段のルーティン』は試合全体の中で、常に自分のペースを保ってくれる存在です。
一方、『切り替えのルーティン』はピンチで心が崩されそうな時、自分自身を助けてくれる存在と言えるでしょう。
この2つのルーティンを練習の時から準備しておくことが重要です。

ルーティンの行為は3つの要素でできている

ルーティンはこれから紹介する3つの要素の組み合わせ、もしくは単体でできています。
組み合わせて使ってもいいですし、どれか一つだけでルーティンを作っても問題ありません。自分自身が最もしっくりくるやり方にしましょう。

体を使ったルーティン

体を使ったルーティンは、試合などで普段と違った力の入り方・呼吸になってしまう自分を、普段の自分に戻してくれます。

  • バッターボックスに入る前や投球前に、深く深呼吸をする
  • バットを構える前に、思い切り肩と手に力を入れて、すぐに脱力する
  • ピッチングで、フォアボールを出した後に、プレートを外して深呼吸する
  • バッターボックスに入る前に、大きく伸びをして、肩を回す
  • バッターが投球と投球の間に、毎回バッティンググローブのテープを付け直して、気持ちを切り替える
など、呼吸を整えたり、筋肉を脱力させたりする方法や、切り替えを狙ったものがあります。

視覚を使ったルーティン

体を使うだけではなく、視覚を効果的に使うことも重要です。なぜなら、人間は緊張したり、追い込まれている時は、視覚が非常に狭くなってしまうからです。
そして視野が狭くなり、周りが見えなくなり、おかしなプレーをしてしまうのです。
逆に、普段通りの視野に戻すことができれば、プレーも普段のものに戻ります。
どうすればいいかというと、『自分の気持ちを切り替えたい時に、見るべきポイントを決めておき、切り替えたい時にそれを毎回見る』という方法です。
これを『フォーカルポイントを決める』いいます。
例えば

  • ピッチャーで、フォアボールを出してしまったら、バックスクリーンの時計を見る
  • バッターで、狙い球を打ち損じてしまった時は、バッターボックスを外し、バックスクリーンの旗を見る
  • ピッチャーで、ヒットを打たれてしまった後は、帽子の裏に書いた言葉を見る
というように、自分が追い込まれた時、失敗した時に見るポイントを決めておき、そうなった時に、それを見て気持ちを切り替えるのです。
これは、最初に説明した体を使ったルーティンと組み合わせても良いです。
例えば、
ミスをしたら一度ジャンプをして体をリラックスさせ、その後に空を見上げ、深呼吸する
というような形です。

言葉を使ったルーティン

言葉には大きな力があります。なぜなら、人間は口に出した言葉を頭の中にイメージする力があるからです。
ミスをした時に、ネガティブな言葉を口にすると、その言葉が頭の中を支配し、より失敗する方向で体の動きを導いてしまいます。
つい「無理だ」とか「ダメだ」とか「ヤバい」という言葉が口癖の人は、ピンチの時に自分自身に言い聞かせる言葉を決めておきましょう。
また、プレッシャーがかかる場面では、これから自分がすべき行動を口に出すと、それに集中しやすくなるのでおすすめです。
例えばこのような言葉です。

  • ミスをした時に『俺にはできる!』『大丈夫!大丈夫!』『いつも通りできる!』
  • 勝負所の緊迫した場面で『鋭く腕を振ってアウトローに投げ込もう』『アウトコースが来たらライト方向に打ち返そう』
これらも日頃から練習の時に行うようにしましょう。

ルーティンは自分の中にある

では今まで紹介したルーティンをどのように決めていけばいいのでしょうか?下記のように、自分自身を分析しながら見つけるのが参考になります。

調子がいい時の自分に『クセ』はないか

プレーがうまくいっている時、バッターボックスや守備位置、ピッチャーズマウンドで何を考えているのか、どんな動きをしているのか、どんな言葉をつぶやいているのか、振り返ってみましょう。
そして、何か『クセ』や『パターン』を見つけたら、それをルーティンとして使えないか、検討してみてください。

どういう時に自分は調子を落とすのか?

今度は、プレーがうまくいかない時、バッターボックスや守備位置、ピッチャーズマウンドで何を考えているのか、どんな動きをしているのか、どんな言葉をつぶやいているのか、振り返ってみましょう。
どんな状況下でネガティブな考えに陥りやすいのか、調子を崩しやすいのか、見えてくれば、そのタイミングこそ『切り替えのルーティン』を行うポイントになります。

普段の練習の時からルーティンを取り入れよう

自分自身を振り返り、『普段のルーティン』『切り替えのルーティン』『体を使ったルーティン』『視覚を使ったルーティン』『言葉を使ったルーティン』をうまく組み合わせながら用意し、普段の練習からそれらを行うようにし、自分に合ったルーティンを見つけていきましょう!
試合でいきなりやろうと思ってもできませんので、普段の練習の時から行うのが重要です。

ルーティンの例

自分のルーティン探しのヒントに、いくつかルーティンの例を紹介していきます。

ピッチャーのルーティン

例えばこのようなルーティンがあります。

  • 完璧を目指しすぎてつい視野が狭くなってしまいがちなので、そうなりそうな時は、バックスクリーンの天候掲示板をみながら深呼吸をすることに決めている。また合わせて『リラックスしていこう』とつぶやくようにしている。
  • つい力んで肩に力が入ってしまうタイプなので、投球前に必ず深呼吸しながら肩を落とすようにしてリラックスしている。
  • 前の投球のことをあれこれ考えがちなので、キャッチャーからの返球をマウンドの外で受け取り、気持ちをリセットしてからマウンドの中に入るようにしている
  • プレッシャーを感じると萎縮してしまうタイプなので、勝負所ではボールに向かって『普段通り、腕を振っていこう』とつぶやくようにしている

バッターのルーティン

ピッチャーは20秒ルールの中であれば自分のペースで投げれますが、バッターはそうはいきません。
よって、相手ピッチャーの存在を踏まえながら行うシンプルなルーティンが必要です。例えばこのようなルーティンがあります。

  • 打席には必ず右足から入り、左足で土をならすことで、落ち着きを取り戻せる。
  • 打ち損じた時、ボールだと思ったのにストライクだった時は、バットを見つめ、その後に少しだけ目を閉じ、深呼吸して切り替えている。
  • 1球ごとにヘルメットの一度直すことで、自分のペースを保つようにしている。
バッターのルーティンのポイントは、シンプルにすることです。
また、ルーティンにこだわりすぎるあまり、相手ピッチャーの観察を怠ってはいけません。あくまでも相手ありきの勝負なので、相手を観察し、分析する時間を作っておきましょう。

守備のルーティン

守備では、ボールが飛んでくる時、来ない時があるので、常に緊張していては集中力が持ちません。
1球ずつリセットし、緊張と緩和を繰り返す方が良いでしょう。

  • 自分の頭の中で、ポジション付近にリラックスゾーンを作っておき、1球ごとにそこに入ってリセットしてからまたポジションに戻るようにする
  • ミスをしたり緊張したりしてネガティブになってしまったら、地面に足で文字を書いて切り替えるようにする
  • ピッチャーが投球動作に入ったら、グラブを叩いて集中力を高めるようにする
などです。

チームのルーティン

個人だけでなく、チームとしてルーティンを作っておくことで、チーム全員で普段通りの力を出したり、切り替えを行うことができるようになります。

  • 試合前のアップ・ボール回し、ノックなどは常に同じメニューで行う
  • ピンチの時の合言葉を決めておき、ピンチではその言葉を互いに掛け合う
などです。チームメンバーで相談して決めてみましょう。

以上が、自分にあったルーティンを見つける方法でした。ぜひ参考にしてみてくださいね。みなさまの野球人生がより良いものになりますように。