FA(フリーエージェント)の取得条件やルールは?
この記事ではそんな方に向けて
- FA(フリーエージェント)とは何か
- FA(フリーエージェント)の取得条件
- なぜ選手はFA(フリーエージェント)を宣言するのか?
まーく
目次
FA(フリーエージェント)とは
FA(フリーエージェント)とは一言でいうと
- プロ野球選手が、自チーム・他チームと自由に選手契約できる権利
ちなみに選手は、FA宣言をしたうえで、元々所属していた球団と契約することもできます。
FAには2種類あり、国内FAと海外FAがあります。
現在のプロ野球では『ドラフト制度』を採用しており、プロ野球志望届を出したアマチュア選手の中から、球団が指名した選手と交渉し、契約を結ぶ形になっています。
つまり、選手側から契約したい球団を指名することはできません。
そういった背景も加味し、「特定の球団に所属してから一定の期間が経てば、選手が自由に各球団と交渉・契約ができる」のがFA(フリーエージェント)制度です。
FA(フリーエージェント)の取得条件は?
過去、逆指名制度があった頃は若干違いますが、現在は下記の条件でFA権が取得できます。
国内FA権の取得条件
- 2006年までのドラフトで入団した全選手:累計8年(通算1160日)経過
- 2007年以降のドラフトで入団した高校生:累計8年経過
- 2007年以降のドラフトで入団した大学生・社会人:累計7年(通算1015日)経過
海外FA権の取得条件
- 全選手が累計9年経過
『1年』のカウント方法
FA(フリーエージェント)の取得条件は、上記の通り累計何年経ったか?で決まりますが、その定義は下記です。
[list class="li-niku li-mainbdr main-c-before"]- 出場選手登録(一軍登録)で145日を”1年”として換算し、規定の年数が経過すると権利が取得できます。
- 1シーズンにおいて145日より多く出場選手登録されても、145日までしかカウントされません。
- 出場選手登録の日数が145日未満の日数がある場合は、日数を合計して、145日ごとに”1年”に換算されます。
- 途中で所属チームが変わっても、カウントは引き継がれます。
- オールスター期間前後に登板間隔が10日以上となるために登録抹消される場合
- 開幕2カード目での先発予定のため開幕時点で登録されない場合
- レギュラーシーズン終了からクライマックスシリーズのチーム初戦まで10日以上あるため自動的に登録抹消となる場合
FA権の再取得
FAを宣言した後、再度FA権を取得できるのは、残留・移籍を問わず4年後になります。
また、FAを宣言しなかった場合は、その権利は翌年以降に持ち越されます。
外国人枠の選手がFA権を取得する場合
プロ野球には外国人枠があり、1つのチームで出場選手登録できる数が決まっていますが、外国人枠の選手がFA権を取得すると、権利行使の有無に関わらず、翌年のシーズンからは外国人枠から外れ、一般の日本人選手と同じ扱いになります。
故障者選手特例措置制度
故障者選手特例措置制度は下記の条件を満たした選手の出場選手登録日数を救済する制度です。これによっても、”出場選手登録日数”が加算されます。
- (前提条件として)前年の出場選手登録が145日以上
- 2月1日~11月30日の間にグラウンド上で発生した故障が原因で出場選手登録を抹消されることで、その年の出場登録日数が145日に達しない選手の場合、登録抹消日から2軍の公式戦に出場するまでの日数のうち、最大60日までその年の出場選手登録の日数に加算されます。
- シーズン中に数回に渡って登録抹消がなった場合でも、累計60日まで加算されます。
- の制度により出場登録日数が加算された場合、翌年は適用の対象外となります。
なぜ選手はFA(フリーエージェント)を宣言するのか?
もちろん選手によって様々な理由がありますが、FA(フリーエージェント)を宣言する理由は主に下記のような理由が多いです。
- 年俸や契約年数が良いチームにいきたい(高く、長く契約してくれること)
- 出場機会の多いチームにいきたい
- 強いチームに移って優勝したい
- 子供の頃から憧れているチームにいきたい
- 地元や家族によって環境がいい場所のチームにいきたい
FA宣言をして移籍した場合の補償
選手がFA宣言をして、他のチームに移籍した場合、その選手を獲得したチームは、移籍元のチームに補償をしなければいけない場合があります。
FA宣言した選手にはランクがつけられる
元々所属しているチームでの年俸の高い順で、上位3位までをランクA、4位から10位までをランクB、11位以下をランクCとランク付けされます。このうち、ランクAとランクBの選手がFA宣言をして移籍する場合、移籍元のチームは補償をしなければいけません。補償は金銭補償と、人的補償のあり・なしが選べます。
ランクAの選手の場合の補償
- 金銭+人的補償あり:プロテクト外の選手1名+旧年俸の50%の金銭(2度目以降のFA移籍ならプロテクト外の選手1名+旧年俸の25%の金銭)
- 金銭補償のみ:旧年俸の80%の金銭 (2度目以降のFA移籍なら40%の金銭)
ランクBの選手の場合の補償
- 金銭+人的補償あり:プロテクト外の選手1名+旧年俸の40%の金銭(2度目以降のFA移籍ならプロテクト外の選手1名+旧年俸の20%の金銭)
- 金銭補償のみ:旧年俸の60%の金銭 (2度目以降のFA移籍なら30%の金銭)
ランクCの選手の場合の補償
ランクCの選手の場合、金銭・人的補償ともに発生しません。
プロテクトリストとは?
先ほどの説明で、”プロテクト外”という表現を使いました。人的補償の場合、移籍先のチームが移籍元のチームに対して、欲しい選手を指名します。”プロテクト”とは移籍元のチームが人的補償の対象選手から外す選手のことで、”プロテクトリスト”と呼ばれます。ここに入っている選手は、補償対象として指名できません。
海外FAの場合の補償は未整備
では海外FAの場合はどうでしょうか?じつは補償条件はあまり整備されていないのが現状です。
過去、FA宣言した選手一覧
FAによって獲得できる人数は2名まで
基本的に、1つの球団がFA宣言をした選手を獲得できる人数の上限は2名です。
近年のプロ野球ではあまりないですが、FA選手が21名以上30名以下の時は3名まで、31名以上40名以下の時は4名まで、41名以上の時は5名まで獲得できます。
過去のFA宣言した選手一覧
参考に、過去にFA宣言をした選手の一覧です。毎年様々な選手がFAによって移籍していますね。
年 | 選手 | 移籍元 | 移籍先 | FAの種類 | ランク | 補償内容 |
---|---|---|---|---|---|---|
2008年 | 中村紀洋 | 中日ドラゴンズ | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 海外 | C | 無 |
野口寿浩 | 阪神タイガース | 横浜ベイスターズ | 海外 | C | 無 | |
相川亮二 | 横浜ベイスターズ | 東京ヤクルトスワローズ | 海外 | B | 金銭 | |
2009年 | 藤本敦士 | 阪神タイガース | 東京ヤクルトスワローズ | 国内 | C | 無 |
橋本将 | 千葉ロッテマリーンズ | 横浜ベイスターズ | 海外 | C | 無 | |
藤井秀悟 | 北海道日本ハムファイターズ | 読売ジャイアンツ | 国内 | C | 無 | |
2010年 | 藤井彰人 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 阪神タイガース | 海外 | C | 無 |
細川亨 | 埼玉西武ライオンズ | 福岡ソフトバンクホークス | 国内 | B | 金銭 | |
森本稀哲 | 北海道日本ハムファイターズ | 横浜ベイスターズ | 海外 | B | 金銭 | |
内川聖一 | 横浜ベイスターズ | 福岡ソフトバンクホークス | 国内 | B | 金銭 | |
小林宏之 | 千葉ロッテマリーンズ | 阪神タイガース | 海外 | A | 高濱卓也 | |
2011年 | 村田修一 | 横浜ベイスターズ[27] | 読売ジャイアンツ | 海外 | A | 藤井秀悟 |
鶴岡一成 | 読売ジャイアンツ | 横浜DeNAベイスターズ[27] | 国内 | C | 無 | |
許銘傑 | 埼玉西武ライオンズ | オリックス・バファローズ | 国内 | C | 無 | |
帆足和幸 | 埼玉西武ライオンズ | 福岡ソフトバンクホークス | 国内 | B | 金銭 | |
杉内俊哉 | 福岡ソフトバンクホークス | 読売ジャイアンツ | 国内 | A | 金銭 | |
小池正晃 | 中日ドラゴンズ | 横浜DeNAベイスターズ[27] | 国内 | C | 無 | |
サブロー | 読売ジャイアンツ | 千葉ロッテマリーンズ | 海外 | B | 高口隆行 | |
2012年 | 日高剛 | オリックス・バファローズ | 阪神タイガース | 海外 | C | 無 |
寺原隼人 | オリックス・バファローズ | 福岡ソフトバンクホークス | 国内 | B | 馬原孝浩 | |
平野恵一 | 阪神タイガース | オリックス・バファローズ | 国内 | B | 高宮和也 | |
2013年 | 小笠原道大 | 読売ジャイアンツ | 中日ドラゴンズ | 海外 | C | 無 |
山崎勝己 | 福岡ソフトバンクホークス | オリックス・バファローズ | 国内 | C | 無 | |
久保康友 | 阪神タイガース | 横浜DeNAベイスターズ | 国内 | B | 鶴岡一成 | |
大竹寛 | 広島東洋カープ | 読売ジャイアンツ | 国内 | A | 一岡竜司 | |
中田賢一 | 中日ドラゴンズ | 福岡ソフトバンクホークス | 国内 | C | 無 | |
鶴岡慎也 | 北海道日本ハムファイターズ | 福岡ソフトバンクホークス | 国内 | B | 藤岡好明 | |
片岡治大 | 埼玉西武ライオンズ | 読売ジャイアンツ | 国内 | B | 脇谷亮太 | |
涌井秀章 | 埼玉西武ライオンズ | 千葉ロッテマリーンズ | 国内 | A | 中郷大樹 | |
2014年 | 大引啓次 | 北海道日本ハムファイターズ | 東京ヤクルトスワローズ | 国内 | B | 金銭 |
成瀬善久 | 千葉ロッテマリーンズ | 東京ヤクルトスワローズ | 国内 | B | 金銭 | |
小谷野栄一 | 北海道日本ハムファイターズ | オリックス・バファローズ | 海外 | C | 無 | |
相川亮二 | 東京ヤクルトスワローズ | 読売ジャイアンツ | 海外 | B | 奥村展征 | |
金城龍彦 | 横浜DeNAベイスターズ | 読売ジャイアンツ | 海外 | C | 無 | |
2015年 | 高橋聡文 | 中日ドラゴンズ | 阪神タイガース | 国内 | C | 無 |
脇谷亮太 | 埼玉西武ライオンズ | 読売ジャイアンツ | 国内 | C | 無 | |
今江敏晃 | 千葉ロッテマリーンズ | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 海外 | A | 金銭 | |
木村昇吾 | 広島東洋カープ | 埼玉西武ライオンズ | 海外 | C | 無 | |
2016年 | 岸孝之 | 埼玉西武ライオンズ | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 海外 | A | 金銭 |
糸井嘉男 | オリックス・バファローズ | 阪神タイガース | 国内 | B | 金田和之 | |
山口俊 | 横浜DeNAベイスターズ | 読売ジャイアンツ | 国内 | B | 平良拳太郎 | |
森福允彦 | 福岡ソフトバンクホークス | 読売ジャイアンツ | 国内 | C | 無 | |
陽岱鋼 | 北海道日本ハムファイターズ | 読売ジャイアンツ | 国内 | B | 金銭 | |
2017年 | 増井浩俊 | 北海道日本ハムファイターズ | オリックス・バファローズ | 国内 | A | 金銭 |
大和 | 阪神タイガース | 横浜DeNAベイスターズ | 国内 | B | 尾仲祐哉 | |
野上亮磨 | 埼玉西武ライオンズ | 読売ジャイアンツ | 国内 | B | 高木勇人 | |
大野奨太 | 北海道日本ハムファイターズ | 中日ドラゴンズ | 海外 | B | 金銭 | |
鶴岡慎也 | 福岡ソフトバンクホークス | 北海道日本ハムファイターズ | 海外 | C | 無 | |
2018年 | 炭谷銀仁朗 | 埼玉西武ライオンズ | 読売ジャイアンツ | 海外 | B | 内海哲也 |
浅村栄斗 | 埼玉西武ライオンズ | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 国内 | B | 金銭 | |
丸佳浩 | 広島東洋カープ | 読売ジャイアンツ | 国内 | A | 長野久義 | |
西勇輝 | オリックス・バファローズ | 阪神タイガース | 国内 | B | 竹安大知 | |
2019年 | 美馬学 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 千葉ロッテマリーンズ | 国内 | B | 酒居知史 |
鈴木大地 | 千葉ロッテマリーンズ | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 国内 | B | 小野郁 | |
福田秀平 | 福岡ソフトバンクホークス | 千葉ロッテマリーンズ | 国内 | C | 無 | |
2020年 | 梶谷隆幸 | 横浜DeNAベイスターズ | 読売ジャイアンツ | 国内 | B | 田中俊太 |
井納翔一 | 横浜DeNAベイスターズ | 読売ジャイアンツ | 国内 | C | 無 |
まーく