守備妨害・走塁妨害とは?どっちが優先される?気になるポイントを徹底解説!

野球の試合をしていると、攻撃側の選手と守備側の選手が接触してしまうなどのアクシデントが稀に起こります。
その場合、状況によって『守備妨害』『走塁妨害』が適用されます。この記事では、全ての野球プレーヤーと指導者の方のために、『守備妨害』『走塁妨害』どのような状況でそれらが適用されるのかについて解説します。

まーく

ちなみに、この記事は、野球歴25年以上の野球マニアである、私まーくが書きました。みなさまのお役に立てれば嬉しいです。

守備妨害とは?

試合において、野手が打球を処理している時は、原則的に野手の守備が優先であり、ランナーやバッターなど、攻撃側の選手は野手を避けなくてはいけません。
攻撃側の選手(ベンチにいるメンバー全員を含む)は故意であるかどうかに関わらず、守備をしようとした選手の妨害になるような行為(さえぎったり、阻んだりなど)をした場合は、基本的にボールデッドとなります。
妨害をした対象のバッターやランナーはアウトになり、その他にランナーがいた場合は、妨害が発生したタイミングで占有していたと審判が判断する塁まで戻らないといけません。
また、バッターランナーが1塁に到達する前に起きた守備妨害は、全てのランナーが投球前に占有していた塁まで戻る必要があります。
守備妨害にはいくつか種類があります。

キャッチャーに対する守備妨害

バッターの守備妨害の多くが、キャッチャーに対するものとして発生します。
例えば下記のような場合です。

盗塁時にバッターがバッターボックスの外に出るなどによってキャッチャーの送球を妨害した場合

この場合、この妨害によってキャッチャーが送球できない、悪送球になる、挟殺プレーになるなど、本来はアウトになるはずだったものがならない、という状況になります。
バッターが三振のカウントでなければ、バッターがアウトになり、バッターが三振のカウント(3ストライク目を空振りしたあとの妨害)であればバッターに加え、守備の対象であったランナーがアウトになります。
ダブルスチールなどで、送球前に妨害されて送球できないというような、どのランナーに対して行われいた守備か明らかでない場合は、本塁に最も近いランナーがアウトになります。

スクイズ、ホームスチール時にバッターがバッターボックスの外に出るなどによってキャッチャーの送球や本塁でのプレイを妨害した場合

ホームスチールやスクイズで3塁ランナーが得点しようとしている場合にバッターが守備妨害を行った場合に関しては、守備の対象が3塁ランナーでなかったとしても、バッターの代わりに3塁ランナーがアウトになり、バッターは打ち直し(プレー再開)となります。
ただし、2アウトに起きた場合は、バッターがアウトとなり、得点も記録されません。

振り逃げ・フォアボールなどで1塁に進むべきバッターランナーが、キャッチャーの3塁ランナーに対する守備を妨害した場合

この場合は、バッターはフォアボール・振り逃げではありますが、バッターがアウトになります。また、進塁・(得点)したランナーも全て元の塁に戻らないといけません。

スイングしたバットが自然な動作の流れで振り戻した時にキャッチャーに当たってしまった場合

故意でなければ守備妨害にはなりませんが、すぐにボールデッドとなりますので、盗塁をしようとしていたランナーがいれば、元の塁に戻る必要があります。
もし故意であることがわかれば、守備妨害となりバッターはアウトとなります。

打球や打球処理に対する守備妨害

次に打球や打球処理をしようとした野手に対する守備妨害にもいくつかの種類がありますので紹介します。

併殺を阻止するために故意に守備を妨害した場合

バッターが妨害した場合は、バッターと本塁に1番近いランナーがアウトになります。
また、ランナーが妨害した場合は、妨害したランナーと、バッターがアウトになります。
守備妨害が起きた時点でボールデッドとなり、他のランナーは進塁できません。

ファウルボールの進路を故意に狂わせた場合

故意にバッターやランナーが、打ったファウルボールの進路を狂わせた場合も守備妨害となり、狂わせたバッターやランナーがアウトとなります。これが体に当てた場合も、バットなどの身につけているもので行った場合も同様です。

打球処理をしている野手を避けない・送球を故意に妨害した場合

打球処理に関しては、原則的に野手が優先となりますので、故意であるかどうかに関わらず、打球を処理しようとしているor送球しようとしている野手に接触するなど、妨害行為があれば、そのランナーはアウトになります。たとえ規定の走路を走っていたとしても、打球処理をしているor送球しようとしている野手がそのコースにいれば、避けなければいけません。
ただし、ランナーが元々いた塁に付いていた場合は、故意でなければ妨害になりません。

注意
例外として、キャッチャーと1塁へ向かうバッターランナーが接触した場合は故意でなければ守備妨害になることはありません。なぜなら、バッターが1塁へ向かって走るのも、キャッチャーが打球を処理しようとするのも自然な行為だからです。

バッターが打つかバントしたフェアゾーンの打球にもう一度バットを当てた場合

打ったフェアゾーンの打球に対してもう一度バッターがバットを当てたらアウトです。これはバットを投げて当てても同様にアウトです。
逆に、打ち終わって置いたバットに打球が転がってきてぶつかった場合は、故意でなければインプレイでそのままプレー続行です。また、バッターボックス内にバッターがいて、打球に偶然もう一度バットが当たってしまった場合はファウルです。ここで注意すべきなのは、すでに走り出していてバッターボックスから出た状態(たとえ片足でも)でもう一度バットを当ててしまたらアウトになってしまうという点です。
またこれに関連して、バットがすっぽ抜けるなどでバット全体がフェアグラウンドに飛び、野手の打球処理や送球、送球の捕球を妨害した場合バッターは故意であるかどうかに関わらず、アウトになります。
ただし、バットが折れ、一部だけが飛んで行った場合は妨害にはならず、インプレーとしてプレーが続行されます。

打球がランナーに当たった場合

野手が打球に触れる前や、打球が野手間を通過する前に、ランナーに打球が当たった場合は、故意であるかどうかに関わらず、ランナーはアウトになります。
逆に、一度野手が触れた後や、野手の守備機会と関係のないところでランナーが打球に触れてしまった場合は、故意でなければ妨害になりません。
また、インフィールドフライの打球であっても、ランナーはベースから離れた状態で触れるとアウトになるので注意が必要です。

その他、様々な守備妨害

他にも様々なパターンの守備妨害があります。

バッターランナーがスリーフットライン外を走っていた場合

1塁に対する守備が行われてる時に、バッターランナーがスリーフットラインの外側かファウルラインの内側を走っている、つまり正規の走路を外れていて、1塁への送球や捕球を妨害した場合、バッターランナーは守備妨害でアウトになります。
逆に、スリーフットラインの中であれば、送球が当たっても妨害にはならず、インプレイとなります。
また、打球処理をしている野手を避けるためにスリーフットラインの外側かファウルラインの内側を走ることは守備妨害にはなりません。

アウトになったランナーや得点したあとのランナーが守備を妨害した場合

この場合、守備が行われていたランナーがアウトになります。守備が行われていたランナーが明確でない場合は、本塁に最も近いランナーがアウトになります。

攻撃側の選手が守備を妨害した場合

例えば、ランナーが向かっている塁に近づいたり、わざと集合して守備の邪魔をするなどがこの行為に当たります。この場合も、味方の選手が妨害したとして、守備の対象のランナーがアウトになります。

1塁・3塁コーチャーがランナーを支えたり触れたりした場合

1塁、3塁ベースコーチがランナーに触れたり、支えたりすると、援助したとみなされて、ランナーがアウトになります。

攻撃側の選手・メンバーが打球や送球を処理している野手のために場所を譲らず、妨害した場合

この場合、本来であれば場所を譲らないといけません。また、例えばキャッチャーフライでベンチ前にバットが転がっていて、それにつまずいてキャッチャーが捕球できなかった場合も守備妨害となります。
対象の守備になっていたランナーやバッターが、守備妨害でアウトになります。

走塁妨害とは?

走塁妨害とは、野手がランナーの走塁を妨げることです。野手は打球の処理をしている場合や送球しようとしている場合、送球を受けようとしている場合を除いて、ランナーのために走路を譲らないといけません。しかし、それをしないことで走塁を妨げると『走塁妨害』になります。
走塁妨害には大きく2つのパターンがあります。

走塁を妨害されたランナーに対して直接プレーが行われていた時

この場合、妨害があった時点で審判がボールデッドとし、ランナーには、妨害がなかった時に進めたであろう分の進塁が認められます。これは審判が判断します。
例えば、外野の頭を超える長打を打ったバッターランナーの走塁を、ファーストが1塁と2塁の走路に留まることで妨害した場合などが該当します。

走塁を妨害されたランナーに対してプレーが行われていない時

この場合、審判は妨害を指摘はしますがすぐにボールデッドにはならず、プレーを続けませます。そして、プレーが終了してからタイムをかけ、処置を決めます。
例えば、ランナー2塁でレフト前ヒットが打たれ、レフトはバックホームをしたが、バッターランナーがその隙に2塁に進もうとした時に、ファーストが1塁と2塁の走路の間に立って走塁を妨害したケースなどがこれに該当します。
審判員の判断によって進塁が認められるケース、認められないケースがあります。

守備妨害と走塁妨害どちらが優先される?

今まで『守備妨害』『走塁妨害』について説明してきましたが、ランナーと守備側、接触があった時はどちらが優先されるのでしょうか?
じつは、
野手がボールを持ってランナーをアウトにしようとするときや打球・送球を処理している時は野手優先(妨害すると守備妨害)、
それ以外、つまりボールを持っていない、打球処理や送球処理にも関わっていない野手はランナー優先(妨害すると走塁妨害)
となるのです。
例外としては、キャッチャーと1塁へ向かうバッターランナーが接触した場合は、故意でなければ守備妨害にも走塁妨害にもなりません。
また、ランナーが正しい走路を走っていた時に送球がランナーに当たったとしても、守備妨害にも走塁妨害にもならず、インプレイとしてプレイは続行されます。

以上が、守備妨害と走塁妨害に関する解説と、どちらが優先されるか、についてでした。ぜひ参考にしてみてくださいね。みなさまの野球人生がより良いものになりますように。